省力化補助金の効果報告ガイド|
いつ・何を報告する?返還になる場合
結論:補助金は入金で終わりではありません。一般型は5年間、カタログ注文型は3年間、毎年、事務局が定める期限までに効果報告を行います。報告しなかった場合は、返還や交付決定の取消しになることがあります。賃上げの要件を満たせなかった場合に返還になるかどうか、いくら返還するかは、公募要領の定めに沿って決まります。
効果報告はいつ・何回?一般型とカタログ注文型の違い
一般型の第8回公募要領(2026年8月公表・9月18日改訂版)、カタログ注文型の公募要領(令和8年3月19日改定版)と効果報告の手引き(2026年3月31日版・2026年7月14日改訂)で確認
実績報告は、設備の導入と支払いが終わった後に出す報告で、これを受けて補助金の額が確定し、入金されます。効果報告は、入金の後に、導入した設備でどれだけ効果が出たか・賃上げができたかを毎年報告するものです。実績報告までの手続きは交付申請・実績報告をご覧ください。
| 項目 | 一般型 | カタログ注文型 |
|---|---|---|
| 報告する期間 | 5年間(毎年1回) | 3年間(3回目の効果報告まで) |
| 1回目の報告 | 事業計画期間の1年目が終わった後の、最初の4月から | 補助金の交付を受けた年度で決まる(手引きの対象者の区分は下記) |
| 報告の時期 | 毎年、事務局が定める期限まで。実績報告の手引きでは、原則4月から3か月間 | 毎年度、事務局が定める期間。2026年度は4月1日〜6月30日でした |
| 主な報告内容 | 補助事業の効果と、事業場内最低賃金を確認するための賃金台帳 | 省力化製品の稼働状況と、事業計画の達成状況(省力化の効果・賃上げの実績) |
| 報告しない場合 | 補助金の返還を求めることがある(虚偽の報告も同じ) | 交付決定の取消しを行うことがある(補助金の一部または全部の返還を求めることがある) |
受付期間は年度ごとに事務局が案内します。カタログ注文型の受付期間は、2025年度は7月1日〜8月29日(効果報告の概要 2025年6月2日版)、2026年度は4月1日〜6月30日で、毎年同じ時期とは限りません。次の受付期間は事務局の案内でご確認ください。
一般型:事業計画1年目の決算の後、最初の4月から5年間
一般型では、補助事業を完了した事業年度(自社の決算年度)の翌年度が事業計画期間の1年目です。1年目が終わってから最初に迎える4月に1回目の報告を行い、以後5年間、毎年報告します。例えば3月決算の会社が2026年4月〜2027年3月の事業年度中に補助事業を完了した場合、1年目は2027年4月〜2028年3月で、1回目の報告は2028年4月からの期間です。
公募要領は事業計画期間を3〜5年としていますが、効果報告については「最初の4月より5年間」と定めています。補助事業に関わる発明などで特許権等を出願・取得・譲渡したり、実施権を設定したりした場合は、補助事業の終了後5年間、その状況も効果報告にあわせて報告します。
カタログ注文型:補助金の交付を受けた年度で報告する年度が決まる
12025年3月31日までに交付を受けた場合
2025年度・2026年度・2027年度の3回、効果報告を行います。
22025年4月1日〜2026年3月31日に交付を受けた場合
2026年度・2027年度・2028年度の3回、効果報告を行います。
2026年4月1日以降に交付を受けた場合の報告年度は、効果報告の手引き(2026年7月14日改訂)にはまだ載っていません。事務局の案内でご確認ください。カタログ注文型では、交付決定から3回目の効果報告までが事業計画期間で、労働生産性の向上目標の達成状況は効果報告で評価されます。
報告する内容と提出書類
決算の数値は「報告する時点で期末を迎えている直近の事業年度」のものを使います
カタログ注文型:システムに入力する項目
1省力化製品の稼働状況
導入した所在地、財産処分の有無、販売事業者からのサポートの有無と内容、1週間のうちの稼働日数、1台あたり1日の稼働時間、使用状況、人手不足の改善状況などを入力します。
2決算情報
決算年月、売上高、原価、販売管理費、減価償却費、人件費、流動資産・固定資産、流動負債・固定負債を入力します。
3事業計画の達成状況
役員・従業員数などを入力します。労働生産性の目標が未達の場合は、その要因(内的・外的)と改善の方法もあわせて入力します。
4賃上げの実績など
最低賃金、給与支給総額、役員・従業員の総労働時間、省力化を行う業務の状況、年間営業日数などを入力します。大幅な賃上げの特例で補助上限額を引き上げた事業者が未達の場合は、その理由も入力します。
カタログ注文型:添付する書類
| 書類 | 条件・注意点 |
|---|---|
| ①省力化製品全体が写った写真 | 製品1台につき1枚以上。貼り付けたラベルと設置場所が分かるように撮影し、効果報告日までの1か月以内に撮影したものを提出 |
| ②損益計算書 | 期末を迎えた直近1年間の決算のもの。製品の製造に係る賃金を人件費に含めている場合は製造原価報告書も添付。個人事業主は、青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書 |
| ③貸借対照表 | ②と同じ決算のもの。個人事業で白色申告の場合は提出不要 |
| ④最低賃金者の賃金台帳 | 大幅な賃上げの特例で補助上限額を引き上げた事業者のみ。報告日時点で直近の年月の1か月分 |
| ⑤全従業員の賃金台帳 | ④と同じ事業者のみ。全従業員の対象月1か月分 |
出典:中小機構「効果報告の手引き(カタログ注文型)」2026年3月31日版・2026年7月14日改訂(PDF)。報告は申請マイページから補助事業者が行います。
一般型:効果の報告と賃金台帳
一般型の第8回公募要領は、補助事業に係る効果を報告し、関係する調査に協力すること、事業場内最低賃金の確認のため賃金台帳を提出することを定めています。労働生産性と1人当たり給与支給総額の伸び(年平均成長率)は、効果報告の時点の数値と基準年度の数値を比べて計算します。基準年度は公募回によって異なり、第1回〜第7回は応募申請時の直近の決算期、第8回は補助事業を完了した日を含む事業年度の決算期です。
事務局は、第1回〜第7回公募の事業者向けに「賃金台帳の保存について」(PDF)を2026年10月6日に公開しました。基準年度から事業計画期間の1年目まで数年空くことがあり、効果報告の時点で労働基準法の保存期間を超える場合があるためです。対象は、基準年度(応募申請の直近決算期)から事業計画期間の終了年度までの全従業員分の賃金台帳です。公式資料は保存期間を「本事業に係る書類の保存期間(補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間)」と示したうえで、労働基準法で定める保存期間に関わらず、効果報告時に提出できるよう備えておくよう求めています。効果報告時に賃金台帳が揃わない場合は、要件の判定ができないとされています。一般型の効果報告の手引きは、2026年10月17日時点で「別途公開予定」とされています。
一般型の入力項目や添付書類の細目は、事務局の実績報告の手引きが「各公募回の『交付決定後の留意事項』を確認」としています。交付を受けた公募回の資料と事務局からの案内でご確認ください。
返還・取消しになるのはどんな場合?
返還になるかどうかは、公募要領の基準に沿って事務局が判断します
一般型(第8回公募要領)
1効果報告をしなかった・虚偽の報告をした
期限までに効果を報告しなかった場合や、虚偽の報告があった場合は、補助金の返還を求めることがあるとされています。
21人当たり給与支給総額の目標が未達
事業計画期間の終了時点で、自社が掲げた年平均成長率3.5%以上の目標を達成できていない場合、達成率に応じて返還を求められます。年平均成長率が0以下の場合は全額の返還です。付加価値額が増えておらず、かつ会社全体で事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合などや、天災など事業者の責めによらない理由がある場合は、返還を求めないとされています。
3事業場内最低賃金の要件が未達
事業計画期間中の毎年3月末の時点で、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準に達していない場合、「補助金額÷事業計画年数」の額の返還を求められます。付加価値額が増えておらず、かつその事業年度が会社全体で営業利益赤字の場合などや、天災などの場合は返還を求めないとされています。最低賃金引上げ特例の適用事業者には、この要件は適用されません。
4大幅賃上げの特例で上限を引き上げたのに未達
特例の目標は、①事業計画期間の終了時点で1人当たり給与支給総額の年平均成長率6.0%以上、②毎年3月末の時点で事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上、の2つです。どちらか一方でも未達の場合、交付を受けた補助金額のうち、従業員規模ごとの通常の補助上限額を超える分の返還を求められます。基本要件(2・3)も未達の場合は、その返還もあわせて求められます。
再生事業者は、基本要件が未達の場合の返還が免除されます。賃上げの基本要件は一般型の申請要件(よくある質問)、上限を引き上げる特例は賃上げ特例の解説をご覧ください。賃上げの加点を受けて採択され、加点の要件を達成できなかった場合は、効果報告等で未達が報告されてから18か月の間、正当な理由が認められない限り、中小企業庁が所管する補助金の申請で大幅に減点されます(加点項目の解説)。
カタログ注文型(公募要領・効果報告の手引き)
1期限までに効果報告を出さなかった
交付決定の取消しを行うことがあるとされています。手引きは、その場合に補助金の一部または全部の返還を求めることがあるとしています。
2省力化を通じて人員整理・解雇を行った
効果報告の結果を踏まえて、返還が発生する場合があります。効果報告期間が終わるまで、製品の導入を契機として、自然退職や自己都合退職によらない解雇を積極的に行わないことが、補助対象となる要件の一つです。
3故意・過失で労働生産性の目標が未達になった
達成の見込みのない計画を立てていた、製品を意図的に使わず放置していた等の場合です。公式のよくあるご質問は、こうした故意・過失による未達の場合に返還となる可能性があるとしています。
4賃上げで上限を引き上げた後に賃金を下げた
正当な理由なく、効果報告の時点の給与支給総額または事業場内最低賃金が実績報告の時点を下回っていた場合、返還を求められることがあります。天災など事業者の責めによらない理由の場合は、指定様式の理由書(その1・その2)を出し、理由となる事実が認められれば返還が免除されます。
カタログ注文型で、実績報告の時点で賃上げの目標が未達だった場合は、効果報告ではなく補助額の確定の段階で、上限を引き上げなかった場合の額まで減額されます。このほか、実績報告から効果報告期間の終了までの間に行われる実地検査で、製品が事業計画の事業場で使われていない等が確認された場合も、交付決定の取消しとなります。
毎年の報告に向けて準備しておくこと
自社の報告年度と受付期間を確認する
一般型は事業計画1年目の終わり、カタログ注文型は交付を受けた年度から、何年度に何回目の報告をするかを一覧にします。受付期間は年度ごとの事務局の案内で確認します。
決算を確定させ、直近の事業年度の数値をそろえる
報告には、報告する時点で期末を迎えている直近の事業年度の数値を使います。損益計算書・貸借対照表のほか、人件費の内訳や従業員数を確認できるようにしておきます。
賃金台帳を準備する
一般型は事業場内最低賃金の確認のため、カタログ注文型は大幅な賃上げの特例で上限を引き上げた場合に提出します。事業場が複数ある場合は、事業場内最低賃金が最も低い事業場の賃金を使います。
稼働の状況を記録しておく
カタログ注文型は、週の稼働日数・1日の稼働時間・人手不足の改善状況などを入力し、報告日前1か月以内に撮影した製品の写真を添付します。日頃から稼働の記録を残しておくと、報告の時に慌てずに済みます。
期限内に提出し、差し戻しに対応する
カタログ注文型では、提出後に事務局の審査があり、不備や確認事項があると差し戻されます。期限の直前ではなく、余裕をもって提出します。
報告期間中に設備を売る・移す・やめるときの注意
処分の制限は、効果報告の期間とは別に、法定耐用年数を経過するまで続きます
1売却・譲渡・貸付け・廃棄は事前の承認が必要
一般型は単価50万円(税抜き)以上の機械等、カタログ注文型は取得した省力化製品を、制限の期間内に処分する場合は事前に承認を受け、残存簿価相当額または時価(譲渡額)を、補助金額を限度に納付します(一般型は、いずれか高い額)。承認なく貸し付けや転売をすると交付決定の取消しになります。制限の期間は法定耐用年数を準用するため、事業計画期間や効果報告の期間が終わった後でも、耐用年数を経過するまでは制限がかかります。カタログ注文型の手続きは様式第8「財産処分承認申請書」です。会計上の扱いは補助金の会計・税務をご覧ください。
2補助事業をやめる場合は廃止の手続き
カタログ注文型では、補助金の交付後に補助事業の一部または全部を廃止せざるを得ない場合、補助事業廃止届出書の提出が必要で、事務局のコールセンターへ連絡するよう案内されています。一般型でも、事業の中止・廃止には中小機構の事前の承認が必要です。
3検査と書類の保存
中小機構・事務局の立入検査や、会計検査院の実地検査の対象になることがあります。帳簿や証拠書類は、補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間保存します。
4保険・共済の加入
一般型は、事業計画期間の終了まで、導入した機械装置について自然災害を含む損害を補償する保険・共済への加入が原則必須です。カタログ注文型は、補助額(導入経費を含む)が500万円以上の場合に、事業計画期間の終了まで加入が必須です。
よくある質問
カタログ注文型の効果報告は、販売事業者が代わりに出してくれますか?
受付期間を過ぎてしまったら、どうなりますか?
赤字の年でも効果報告は必要ですか?
3月決算ではない場合、どの決算の数値を報告しますか?
リースで導入した場合も、自社で効果報告をしますか?
効果報告と賃上げの確認、毎年の手間を減らしませんか。
毎年の効果報告の手続きをサポートします。採択を保証するものではありませんが、見通しを一緒に整理します。
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