省力化補助金の圧縮記帳と税金
【会計処理・消費税の基本】
結論:省力化補助金は課税の対象となる収入です。ただし設備など固定資産の取得に充てた部分は、他の要件も満たせば圧縮記帳等(課税を後の年度に繰り延べる仕組み)を使えると、中小企業基盤整備機構(中小機構)が示しています(一般型・カタログ注文型とも)。経費を補填する部分は対象外です。実際の処理は顧問税理士にご確認ください。
省力化補助金に税金はかかる?圧縮記帳は使える?
補助金のどの部分に充てたかで扱いが分かれます
当事務所は行政書士事務所で、補助金の申請手続きを支援しています。このページは税制の一般的な仕組みの紹介です。個別の税務の判断や申告書の作成は税理士の業務のため、実際の処理は顧問税理士(いない場合は税理士や国税庁の相談窓口)にご確認ください。
| 補助金の部分 | 法人(法人税) | 個人事業主(所得税) |
|---|---|---|
| 機械装置など固定資産の取得に充てた部分 | 収入(益金)になるが、要件を満たせば圧縮記帳等の対象(法人税法42条など) | 要件を満たせば、その部分を収入に含めない扱い(総収入金額不算入)の対象(所得税法42条など) |
| 経費を補填するための部分 | 圧縮記帳等の対象外 | 総収入金額不算入の対象外 |
出典:中小機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)における圧縮記帳等の適用について」「中小企業省力化投資補助事業における圧縮記帳等の適用について」(いずれも令和7年7月10日)、国税庁タックスアンサーNo.2202。2026年10月1日時点の内容です。
一般型の第8回公募要領(2026年8月公表・9月18日改訂版)は、補助金は経理上、支払を受けた事業年度の収入として計上するもので、法人税等の課税対象になると明記しています。この補助金は中小機構から交付されますが、国の補助金を原資としていること等から所得税法42条・法人税法42条の「国庫補助金等」に当たるとされ、一般型・カタログ注文型のそれぞれについて中小機構が資料を公表しています。圧縮記帳等を使う場合、法人は法人税申告書の別表十三(一)、個人は「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」で申告します。
中小機構の資料は、一般型・カタログ注文型の各「よくあるご質問」からも案内されています。補助額や補助率は補助額・補助率の解説、補助対象となる経費は補助対象経費をご覧ください。
圧縮記帳の仕組み:税金がなくなるのではなく後の年度に回る
補助金で買った設備の帳簿上の価額を、補助金の額の範囲で減らし、減らした分を損金(個人は収入に含めない額)にする仕組みです。受け取った年度に補助金への課税が集中しないようにするもので、税金が免除されるわけではありません。設備の帳簿価額が小さくなる分、以後の減価償却費も小さくなり、その分の所得が後の年度で増えます。
1帳簿価額を減らす方法と、積立金に計上する方法がある
法人の場合、固定資産の帳簿価額を減額する方法のほか、減額に代えて確定した決算で積立金に計上する方法も設けられています。どちらを使うかで、決算書と申告書の書き方が変わります。
2減価償却は圧縮後の金額が基礎になる
国税庁は、圧縮記帳を受けた固定資産の取得価額は実際の取得額から圧縮額(個人は総収入金額に算入しなかった補助金の額)を差し引いた額になり、減価償却費はその額を基礎に計算するとしています。
仕訳の形や、圧縮記帳を使うかどうかの選択は、会社の決算の状況によって考え方が変わります。このページでは仕訳例を示していません。相談の前にそろえる情報はSECTION 07にまとめています。
補助金の入金と決算期がずれる場合
精算払いのため、設備の支払いと入金が別の事業年度になることがあります
補助金は、交付決定の後に設備を発注・納品・支払いし、実績報告を出して補助金額が確定してから支払われる精算払いです(一般型の第8回公募では、実施期間は交付決定日から17か月以内)。カタログ注文型の公募要領(令和8年3月19日改定版)は、交付決定額の全額が支払われるとは限らないとしています。設備の代金は入金まで自社で立て替えるため、設備の取得と補助金の確定・入金が別の事業年度になることがあります。手続きは交付申請・実績報告をご覧ください。
設備を取得した事業年度と、補助金の額が確定・入金する事業年度が分かれる場合に備えて、法人税法には圧縮記帳の関連規定(42条〜44条、施行令79条の2)があります(国税庁「別表十三(一)の記載の仕方」)。国税庁の通達は、補助金等適正化法15条により交付額が確定し、その通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定したものに当たるとしています(法人税基本通達10-2-1)。
設備を取得した日、交付決定・額の確定の通知日、入金日と決算日の前後関係によって、使う規定と収益を計上する事業年度の考え方が変わります。どの規定でどう処理するかは顧問税理士の判断です。
消費税の扱い:補助の対象外で、補助金そのものは不課税
1消費税は補助の対象外
一般型・カタログ注文型とも、消費税は補助対象外の経費(公租公課)です。一般型は、補助金の交付申請額を算定する段階で消費税等を補助対象経費から除くよう定めています。補助額は税抜の経費で計算され、消費税分は補助されません。
2補助金そのものは消費税の課税対象外
国税庁は、国や地方公共団体からの補助金・助成金等は、一般的に対価を得て行う取引ではないため課税の対象とならない(不課税)としています(国税庁タックスアンサーNo.6157)。特定の政策目的の実現を図るための給付金は資産の譲渡等の対価に当たらない、という通達もあります(消費税法基本通達5-2-15)。
3補助金で買った設備も課税仕入れの判定は通常どおり
国税庁の通達は、課税仕入れに当たるかどうかは支出した金銭の出どころを問わないとしています。補助金を充てた設備でも、課税仕入れに当たれば仕入税額控除(支払った消費税を、納める消費税から差し引く仕組み)の規定が適用されます(消費税法基本通達11-2-8)。
自社が免税事業者か、簡易課税を選んでいるかなどで、消費税の申告への影響は変わります。消費税の申告での具体的な扱いは顧問税理士にご確認ください。
個人事業主の場合(所得税の扱い)
総収入金額に算入しない扱い(確定申告書への記載が条件)
固定資産の取得に充てるための国庫補助金等で、交付の目的に合った固定資産を取得した場合は、取得に充てた部分を総収入金額に算入しない(収入に含めない)扱いを受けられます。確定申告書に一定の事項を記載することが条件で、国税庁は「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書の提出を案内しています(所得税法42条・43条。国税庁タックスアンサーNo.2202)。
この補助金は精算払いのため、設備を取得した年の翌年以降に補助金が確定・入金することがあります。設備を取得した年と補助金が確定・入金する年が分かれる場合の扱いは、早めに税理士に相談してください。個人事業主の申請要件は個人事業主の活用ガイドをご覧ください。
受け取った後の返還・納付の注意点
補助金は入金で終わりではありません
1取得した設備の売却・廃棄には承認と納付が必要
一般型では、単価50万円(税抜き)以上の機械等は処分制限財産となり、法定耐用年数を経過するまでは、譲渡・貸付け・担保に供する・廃棄などの前に事務局の承認が必要です。処分する場合は、残存簿価相当額または時価(譲渡額)のいずれか高い額により、補助金額を限度に納付します。カタログ注文型も、取得から一定の年数を経過する前の処分には承認と納付が必要です。
このほか、一般型の賃上げ要件の未達や、効果報告の未提出でも返還・取消しがあり得ます(賃上げ要件の解説)。
顧問税理士に相談する前に整理しておくこと
日付と決算日の関係
交付決定日、発注・納品・支払日、設備を使い始めた日、実績報告日、額の確定の通知日、入金日を一覧にし、自社の決算日と並べます。
補助対象経費の内訳
交付決定を受けた経費を、機械装置などの本体・設置や運搬などの付随費用・その他の経費に分け、税抜額で整理します。固定資産の取得に当たる部分と経費の補填に当たる部分を分ける材料になります。
消費税の立場
課税事業者・免税事業者・簡易課税のどれに当たるかを確認します。
補助金に付く条件
処分制限の期間、効果報告の期間、賃上げ等の要件と返還の定めを、公募要領と交付決定の内容で確認し、税理士に共有します。
交付申請・実績報告の書類づくりは当事務所でお手伝いできます。税務の判断は顧問税理士と連携して進めてください。採択後の手続きと交付申請の書類は交付申請・実績報告、公募要領の要点は公募要領のポイントをご覧ください。
よくある質問
圧縮記帳を使えるかどうかは、補助金の事務局に聞けば教えてもらえますか?
税理士に支払う費用や、申請書類の作成費用は補助の対象になりますか?
リースで設備を導入する場合も、自社で圧縮記帳をするのですか?
補助金の経理について、公募要領で求められていることはありますか?
申請と受給後の手続き、まとめて整理しましょう。
交付申請・実績報告・効果報告まで、当事務所が手続き面をサポートします。税務の判断は顧問税理士とご確認ください。採択を保証するものではありませんが、見通しを一緒に整理します。
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